title by 蝋梅(https://roubai.amebaownd.com/)
腹の中から食い破られる。そうゴドフリーははじめに思った。
何かが覆っているために目は見えないが、下腹部からぐちぐちとずいぶんと粘着質な生暖かい水の音が聞こえる。
目が見えない分、感覚が鋭敏になっているのか、股座にあるだろう粘り気のあるなにかが蠢くのがつぶさに感じられる。それはゴドフリーの身体を好き勝手にしており、おそらく目を塞いでいるのもそれのうちの一つなのだろう。
後ろ手に縛られた腕を動かそうにも、万力よりも強い力で粘り気を帯びたそれは戒めていて、指先を少し動かすのが精一杯だ。
普段纏っている布の感覚はなく、それでいて素肌だろうに寒さを感じないあたり、意識を失ってからどれほどの時間が経っているのかが分からない。そんなことをぼんやりとゴドフリーが考えていると、ぐい、と脚を持ち上げられる。
太腿と足首をまとめて戒められる。彼の目が見えていたのなら、あまりの姿勢に羞恥で顔から火を噴いていただろう。いわゆるM字開脚をさせられる。そのまま足の裏を粘り気を帯びたそれがなでる。ねっとりとしたそれが足の裏をなでるたびに、くすぐったさでゴドフリーは思わず息を漏らす。
わずかに開いた口元を狙うように、粘り気のあるそれは彼の口元に接近する。風の動く音で察したゴドフリーは固く口を閉ざすが、まるで舐め回すようにねっとりとそれは顔中に粘り気のある液体を撒きながら口を開くように促してくる。
開けるものか、とゴドフリーが固く歯を噛んで口を閉ざしていると、胸にあるふたつの頂を触れられる。ねっとりと、足裏を舐め回すそれと同じように胸を舐めまわされ、搾り取るように乳首を締め付けられる。粘り気のあるそれは、先に口なようなものがあるらしく、締め付けられた乳首をかぷりと噛んでくる。
痛みすら感じるほどの力で乳首を吸われ、きゅうきゅうと扱かれては思わず口から痛みを訴える声が漏れ出ても仕方がない。声が漏れる直前でぬるりと蠢くそれが口の中に入る。喉に入ろうとするそれを生理的な嘔吐反射で締め上げると、くちゃ、と粘性の強い液体がそれの先から溢れ出る。脳を浸すように甘く、ひどくどろどろとしたそれを喉の奥にぶちまけられ、思わずゴドフリーは嚥下してしまう。一度ならず二度、三度とぶちまけられた甘い液体は、喉を通り過ぎるほどに身体の奥底に火をつけていく。胎の底に感じたことのないような熱にゴドフリーは困惑する。彼の困惑を察したように、下腹部でずっとぬちぬちと腹を食い破ろうとしているそれが中に突き立てられる。
口の中に入ってきたそれと同じく、先端こそ細いが太さのあるものを咥えさせられ、ゴドフリーは叫び声をあげそうになる。声帯を震わせた音は、喉を通り抜けることなく引き返さざるをえない。口の中を好き勝手蹂躙するそれは、恐怖に縮こまる舌を引き上げて吸い上げる。同時に、胎に押し入ろうとするそれが胎のなかにどろりとした液体を撒き散らす。
喉から摂取するよりもよほど吸収効率が良すぎて、粘性の液体を撒き散らされた直後から、火のついた体はどうしようもないほどに胎のなかに収まっているそれを締め上げている。胎に収まろうとするそれは瘤でもあるのか、ごりゅ、と腹を圧迫する。瘤が中を擦るたびに、触れられてもいないのに、天をつくようにそそり立つ陰茎からびゅるびゅると白濁した液が流れでる。使われたことのない未使用の肌色をした陰茎は、感じたことのない強すぎる快楽に戸惑うように震えながら精液を垂れ流すばかりだ。
胎の奥の窄まりを責め立てられながら、ゴドフリーはこのまま胎を食い破られて死ぬのではないか、とぼんやりする頭の片隅で考える。口を、胎を、胸を好き放題している滑るそれらは彼の脳を焼き切らんと快楽ばかりを与えてくる。ついには出せるものがなくなった陰茎からは、しょろしょろと黄金色の液体が申し訳程度に出る程度だ。
乳首が腫れ上がるほどに吸われ、噛まれ、搾りあげられるたびに、胎は中にある太いものをぎちぎちと締め付けながら奥に奥にと誘っていく。胎を嬲る太すぎるそれは、奥の閉ざされた口を誘われたから、といわんばかりにこじ開ける。
それまでに感じていたものよりも圧倒的なまでの衝撃に、ゴドフリーの脳は焼き切れる。目の前は暗く閉ざされているはずなのに白く染まる。打ち出せるものは何もないはずの陰茎から、透明な液体が勢いよく噴き上がる。口から腹から飲まされる液体を甘い、と認識しながらゴドフリーは過剰なまでの快楽に意識を飛ばした。
*
「……」
酷い夢を見た。暗く閉ざされた視界の中、鮮烈なまでに気持ちよさばかりが与えられる夢だった。まるで現実は夢と地続きだと言わんばかりに、ぴんと尖った乳首に辟易としながらゴドフリーは上体を起こそうとする。
そのとき、下半身が濡れていることに気がついたのだ。時折ある夢精とは違う濡れ方に恐る恐る掛け布団を剥がして確認すれば、すっかり濡れそぼっているパジャマのズボンが見えた。うっすら尿の色すら見えるのは気のせいだと思いたいが、アンモニアの臭いが彼に事実をまざまざと見せつけてくる。
恐る恐るズボンを脱いで下着を剥がせば、時折ある夢精など子ども騙しだと言わんばかりに白濁していた。捨てたほうが早いほどに汚れた下着を脱いでゴミ箱に放り込む。下衣を脱ぎ捨てたついでに上衣を脱いだ彼は、素っ裸のまま汚れたシーツとベッドパッドを剥がす。
シーツもベッドパッドも洗って清潔にするより捨てたほうが早そうなことに酷い夢を見てしまったとゴドフリーは頭を抱える。
シャワーを浴びて新しいパッドとシーツを敷き直そうと気を取り直した彼は、自身が夢で咥えさせられていた下腹部がひく、と口を動かしたことに気が付かなかった。