novel
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実は既婚者だった話
空港にて-1
付箋がたくさんついたガイドブック片手に、ペパーは空港のターンテーブルで預けた荷物を待つ。聞き慣れない言語を聞きながらも、パルデア語のアナウンスを頼りにターンテーブルまで来たのだ。 手洗いに向かったアオキの分の大きなキャリーケースと、自... -
ハリエンジュの赤い星
メレンゲ、シロップ、そしてゼリー。またの名を、
「先日読んだマンガにあったのですが」「ん?」「焼いたマシュマロが美味である、とありましたが事実なのでしょうか」「あー……まあ、たしかに美味しいかな」 あたしはあんまり焼いたことないけど。そう言いながら優は、最後に焼いたのは、たしか小学校の... -
pokemon
季節限定のネッコアラ
昨日の夜から確かにすこし肌寒く、そろそろ肌掛けの薄手のものでは過ごせないな、とペパーは寝る前に思っていた。明日起きたら冬用の布団を干してしまおうとも。太陽の日差しをめいっぱいに浴びた布団は、ふかふかとしていい香りがするのだ。 そう思い... -
pokemon
僕とご主人とつがいの人と
僕はキョジオーン。ご主人の名前はペパーって言います。ご主人はご飯を作るのがびっくりするくらい上手で、きのみよりもよっぽどおいしいご飯を作ります。 コジオの時に捕まえられて、ぬし、とかいう驚くほど大きなポケモンとご主人と戦った僕は、ご主... -
甘い炭酸ソーダのふたり
カフェがよく似合う人
わたしの趣味は喫茶店やカフェを巡ることだ。SNSで噂のところだったり、街角に置かれているフリーペーパーを頼りに新規開拓をせっせと行うのが趣味だ。新しく気に入った店を見つけては、ちょうどいい大きさのノートに住所をメモしたり、ショップカー... -
サンハ=ユアニルの麓にて
奇跡はポーションの色をしている
「お、おはようございまーす……」「おう、来たな。マクシミリアンなら、リビングにいるぜ」「そうなんですね。わかりました」「俺よりも切り方がうまいとよ」 誇っていいぞ。そう、にっ、と口の端を吊り上げて笑うヴォルフガングは、罠見てくる、と彼らの... -
カナリアのベルカント
それは昔も言われていたかもしれない
トアは人気のある動画配信者だ。だからといって常に引きこもっているわけではないし、動画配信者同士の繋がり以外にも友人はいる。統一管理機関が人間として健全な精神性を持つために友人関係は必要である――そう規定されてから、人々には幼少期から友人... -
サンハ=ユアニルの麓にて
ハロー、ネバーランド
先日から、マクシミリアン=イルデブランドとヴォルフガング=ブラッドフォードの二人の家の近くに、風変わりな人物達が暮らし始めた。 その人物達は、いつぞや異世界から訪れたカナとユウタのような、国境沿いに存在するサンハ=ユアニルの街どころか... -
サンハ=ユアニルの麓にて
ファンタジスト・ロマネスク
若い竜が新たに本を書き始めた。 そう自宅までわざわざ足を運んでくれた壮年の竜――竜の壮年も若輩も老年も、ヨナグ族からすれば分からないのだが――から聞かされたマクシミリアンは、そうか、と頷いた。たしかに他の竜語(ドルンノード)の翻訳者よりは... -
彼と彼女のアジアート
イン・ザ・バスルーム
シャワーでキメの細かい泡を生み出したことに満足した巣鴨は、うきうきと湯船に体を沈める。ボディーソープでしっかりと体に泡をまとわりつかせ、きれいにした体に泡が再度まとわりつく。ふわふわでもこもことした泡をかきわけて湯船に体を沈めると、下... -
カナリアのベルカント
立てば芍薬
惑星によるが、地球にあるかつて日本と呼ばれた土地のように季節のある星は存在する。とはいえ、暑いか涼しいか、寒いか暖かいかくらいのはっきりと別れていない所の方が多い。 暑ければ暑いなりの楽しみ方が、寒ければ寒いなりの楽しみ方があるものだ... -
実は既婚者だった話
もしも、たまごとハムの間に挟まったら
title by OTOGIUNION (http://otogi.moo.jp/) 営業先から戻ろうとしたときだった。テーブルシティにあるとある営業先から帰社する途中で、特徴的な跳ねた灰海色をした髪と、オールバックにされた黒髪を見つけたのだ。 ジムリーダーもしているらしい(タ...