novel
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音声レポート
音声レポート5
美しい肉体を廃棄する――肉体に死を与えることをけろりと言ってのける千種川に、もったいないけど生き残れなかったなら仕方ないよね、と優は返す。まるで他人事だ。 時刻は十八時を半分ほど回ったところで、二人はすでに夕飯を食べ終えていた。さすが高... -
音声レポート
音声レポート4
「なんで来たのかは分かったし、どこから来たのかも分かったけどさ。気になってることがあるんだよね」「なんでしょうか。開示できる範囲であればお答えします」「あんたの身体と、その身体の元持ち主については話せる?」「ええ。話すことは可能です。千... -
音声レポート
音声レポート3
「察していると思いますが、ぼくたちは人ではありません。いえ、正しくいうならば──地球人ではない、と言うべきでしょう」 機械的な声色を少し緩めて、美しい楽器のような声で語りかける千種川。怜悧な硬質なガラスのような声色が常の彼が、柔らかな――人... -
音声レポート
音声レポート2
イスに腰を下ろして話しかけてくる千種川。クイーンサイズのベッドにあぐらをかいて座った優は、あー……と声を出すと、がしがしと頭をかく。考えがまとまらないと言わんばかりの様子の彼女を、ただ千種川はじっと見つめている。まとまるまで待つつもりの... -
音声レポート
音声レポート1
ちらちら、と見られていることには慣れている。どんなに訓練された人間であっても、目の前の男には視線を向けざるを得ないのだ。これはそういう外見をしているのだから。 紫がかった黒髪は、染めることなど一度もしたことがないような美しさだ。重たげ... -
サイハテトラベル
サイハテトラベル7
title by Cock Ro:bin(http://almekid.web.fc2.com/) 結果から言えば、異世界へ繋がっている疑惑のある廃教会のクリスタルは、ユウタとカナを元の世界に戻していった。 もう来られないかもだけど、と言いながら、また来られたら遊びに行きます、と二... -
サイハテトラベル
サイハテトラベル6
title by Cock Ro:bin(http://almekid.web.fc2.com/) 物は試しに、と満月の日を待つこと数日。その間もユウタとカナは文字の勉強をしたり、料理や物作りを手伝ったりして日々を過ごしていた。もし帰ることが出来なくても、文字はこの世界に滞在する上... -
サイハテトラベル
サイハテトラベル5
title by Cock Ro:bin(http://almekid.web.fc2.com/) 混み合いもひと段落ついたからか、ヴォルフガングがリーゼを手招きする。なんだい、と言いながらのしのしとやってくる赤毛のドーン族の彼女は、ユウタとカナを見ると、細っこいガキンチョだねえ、... -
サイハテトラベル
サイハテトラベル4
title by Cock Ro:bin(http://almekid.web.fc2.com/) 「えーっと……たしか、竹取の翁が光ってる竹を見つけるところだよね、多分、このイラスト的に」「だよね。めっちゃ木なのは、こっちに竹がないからなんだろうけど……あ、じゃあこの同じ単語は……木?」... -
サイハテトラベル
サイハテトラベル3
title by Cock Ro:bin(http://almekid.web.fc2.com/) サンハ=ユアニルの街から、青く背の低い草原を走ること四ラノラミゴ。そこにマクシミリアンとヴォルフガングの家はある。なぜそんなに離れているのかといえば、狩人として生計を立てているヴォル... -
サイハテトラベル
サイハテトラベル2
title by Cock Ro:bin(http://almekid.web.fc2.com/) 「よう、寝坊助。よく眠れたか?」「おはようございます……ふああ……」「おはよーございます……ベッド広かった……」 胃を刺激する、それでいてやわらかい匂いで目が覚めたユウタとカナは、あてがわれた... -
サイハテトラベル
サイハテトラベル1
title by Cock Ro:bin(http://almekid.web.fc2.com/) 「文字くらい読めた方がいいんだが……つってもなあ、この家に学習向けの本なんてないしなあ」「いやいや、普通にあったらびびるっていうか……」「確かに。てか、女神様も転生特典っていうなら、文字く...